2020年の東京オリンピック開催の決定を絶好の機会と捉えた政府IR議連は、安倍政権のテーマである成長戦略に貢献できるカジノを含む統合リゾートの推進を早期決定させなければならない。

成長戦略の要となる海外から観光客誘致の目玉としても「カジノ・リゾート」をオープンさせ、日本の「魅力発信基地」とする意向を共有している。

 しかし、オリンピックの為だけにIR法案の可決を目指しているわけではない。本来の目的は、オリンピック開催後にはIRリゾートを活かした「MICE」での成功である。

 また、単独での事業化が難しい施設運営を日本でカジノをオープンさせたい外資企業に負担させて、日本政府はMICEで収益を得ようという魂胆だ。

「カジノを含む統合リゾート」とは・・・

 英語で「Integrated Resorts」なので、表記はIRとされている。

 IRは、カジノが中心となる統合施設ではなく、ホテルや劇場が中心となり、展示会場を含むパーク、ミュージアムなどを一つの区域に集中的に集めた大型施設の計画をいう。

 政府案ではカジノ部分面積は施設全体の5%としている。


 そして「MICE」とは・・・

 大手企業等の大型会議を意味する「Meeting」と、学会や大型団体などが行う報奨や研修などを兼ねた勉強会旅行を含んだ意味の「Incentive Travel」、そして、国際的な団体や政治的機関等が行う国際会議の「Convention」、大規模な発表展示会や各種イベント、ショーなどの「Exhibition」「Entertainment」「Event」を含めた各々の頭文字をとった造語で「マイス」と呼んでいる。

「MICE」は15年前くらいから観光ビジネスの柱として注目されて日本でも様々な試みがあり、観光庁まで創設したものの「MICE」の確立は全くできていない。

 最近の日本の「MICE」は「家族旅行」を意味する小規模な試みで満足する傾向が強くなっています。

 特に沖縄県、大阪府、京都府などは、一家族がおじいちゃん、おばあちゃんと一緒に孫と温泉旅行の企画が拡大解釈されて「MICE」という言葉を乱用しているが、MICEは単なる家族旅行や学生の団体旅行とは全く違う。

 観光庁が誤認していることが要因のようだ。

 とにかく「MICE」を成功させたい政府は、観光庁に期待することを諦めて、「カジノ」という強力なマグネット装置で大きな集客と収益確保を企んだのが「IR法案」だ。

 IR議連は、日本政府の国庫資金を1円も出すことなく、「カジノ」という餌で外資企業を釣り上げて、2000室規模の高級ホテル、数千人収容できる規模のエンタテインメント専用劇場、10万㎡以上の展示場を有するコンベンションセンターなどなど創らせて、その経済全体に波及効果による収益を全て飲み込んでしまおうという目論見である。

 経団連が発表した経済効果の試算によれば、外資による日本への施設整備投資による収益は5,600億円あり、経済波及効果は年間5,800億円で、施設事業に伴うもの収益が9,300億円だという。


 しかし、カジノによる経済効果を営利目的の商業開発や不動産運営と同様に論じるべきではない。

 カジノ事業は、社会への重い責任と日本の社会補償費用の確保と課題解決に最大限貢献する法案にしなくてはならない。

 政府はIR法案では、この重要な役割が目先の既得権益になっている。その政策目的は、国際競争力を強化する戦略であり、訪日外国人観光客を拡大する重要な成長戦略であることは間違いない政策といえるが、ゲーミング合法化を推進するにあたっては、慎重に段階を経て進める必要がある。

 国際観光産業振興議員連盟細田会長は、IRがクールジャパン、ビジットジャパンに貢献することを繰り返し説明しているが、ゲーミングビシネスの話は全くしない。

 IRでの経済波及効果を論じる場合、カジノについての問題を棚上げして、商業不動産開発での経済波及効果を重視すべきではない。

 この経済波及効果を論ずる前に、カジノビジネスによる問題解決が先だ。