【動き出す企業】

《カジノ法案》


 米投資銀行ユニオン・ゲーミング・グループは、日本でカジノが解禁されれば約1兆円の市場規模になり、マカオに次ぐ世界2位の市場になる可能性があると試算していて、2013年9月、自民党がカジノ法案を国会に提出することを明らかにしたことを受けて、セガサミーホールディングスとコナミがラスベガスのシーザーズ・エンターテインメントの国際開発部門のスティーブン・タイト氏と協議に入ったことを明らかにしたニュースを受けて、11月28日に開催されたパチンコホール経営のダイナムジャパンホールディングスの取締役会で、佐藤洋治議長は「全てのエネルギーを日本におけるカジノの準備に集中する」と述べた。

 

 カジノ法案は、日本維新の会、生活の党との共同提出で今期国会会期終了の前日となる2013年12月5日木曜日に特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」が提出れた。


 カジノ法案が提出された翌日、カジノ法案提出で先行き期待が高まる方向に国内でのカジノ解禁が一段と現実味を増す中、カジノ施設向けの販売増が期待される日本金銭機械は買い先行となりやや警戒感も強まっていたとみられる。

 カジノ法案の提出が特定秘密保護法案で国会が荒れて提出が遅れてしまい、とりあえず提出しておいて審議は来年に持ち越すこ形になったことや、カジノリゾート建設の有力候補となっていた東京の猪瀬直樹東京都知事が徳洲会から5,000万円を受け取った事件で、カジノ推進派の東京都知事が金にまつわる事件が起きてはその影響力は落ちる。

 しかし、猪瀬問題で大いに喜んだのが「大阪」だ。

 フジテレビと三井不動産、更に鹿島がお台場でカジノを含めた統合型リゾートの開発計画案出していたが、一気に停滞した。

 カジノ誘致に消極的な観光庁の久保成人長官と非常に仲良し限る日本旅行業協会の菊間潤吾会長も「大変ウエルカムな話」と珍しく期待を寄せる発言をしていた。


 大阪の建設候補地は関西国際空港がある舞洲で、外国人観光客を呼び込みやすいと橋下徹大阪市長はカジノリゾート誘致に対して熱心にラブコールしている。

 カジノ解禁には反対意見も多いために、カジノ議連の会長に女性議員を起用するなど、議員連盟もそれなりに色々と気を使っていたが、カジノ誘致の先鋒である東京都知事の金問題は痛い。

 

日本で合法的なカジノ運営が現実味を帯びてくると、各地方都市からカジノ誘致の動きが活発化した。

 高齢化と人口減少に悩む多くの地方都市では「カジノと観光がリンクして国内外から旅行客が訪問するようになれば、経済活性化の切り札になる」との思惑があるからだ。

 マカオやシンガポールで多額のかけ金を落とす「ハイローラー」が日本に集結することを期待され、潜在的なマーケット規模は年間150億ドルになるとの試算された

 当初カジノ議連は、カジノを中心とした複合施設と、温泉地や既存の観光地につくるコンパクトなカジノ施設という2つのカジノ建設タイプを盛り込み、全国に4~5箇所でカジノ施設を合法化させるとしていたが、マカオとシンガポールで成功したラスベガスのサンズが「カジノを日本で運営するなら東京か大阪以外にありえない」と表明したことから、コンパクトカジノ施設案は無くなった。

 そのため、ヨーロッパのカジノ事業者は日本でのカジノ誘致から離れていったが、瀕死状態のMGMなどが起死回生を狙って積極的に動き出した。サンズグループ傘下でシンガポールにおいてカジノ運営を手掛けるマリーナ・ベイ・サンズCEOのジョージ・タナシェビッチ氏は、東京でプレゼンテーションを行い「東京と大阪はビジネスと金融の主要ハブだから、この2つの都市ならビジネス客がいて、彼らから観光の需要も出てくる」と話し、東京湾にできたカジノの模型を披露した。

 地味にカジノ誘致を企むのが長崎県佐世保市だ。

 近年人気観光地となっている「ハウステンボス」がある。

 ここにカジノやエンタテテインメント施設、ホテルなどを含めた複合リゾート施設を建設しようと目論んでいる

 ハウステンボスは17世紀のオランダの街並みを再現したテーマパークで、第三セクターによって1990年代の資産バブル全盛時に建設されたが、大きな負債を背負って経営破綻。その後、野村ホールディングス野村ホールディングスの傘下で経営再建に取り組んだが、2010年に格安旅行代理店のエイチ・アイ・エスに譲渡された。

 土地の買収からIRの建設をするより低コストで実現できることを強みとして、佐世保市と商工会議所が誘致をアピールしている。

 西九州統合型リゾート研究会の特別顧問を務める中村法道長崎県知事は、「東京に作るのはよくない。カジノを地方都市に作ることで地方も元気になって、東京も元気になるというのがいい。東京一極集中はよくない」と誘致に力を入れている。

 その一方で、アメリカ最大のカジノ事業者「シーザーズ・エンターテインメント」の、スティーブン・タイト国際部長は、「大都市から北海道の山間の温泉地まで、日本中どこにでもカジノホテルを運営することができる」と話し、北海道の釧路市を訪問したことが新聞で大きく取り上げられ、諦めていた地方も再び誘致に動き出した。

 北海道のカジノの誘致は、小樽市、苫小牧市、釧路市が候補地として積極的に活動している。

 中でも周辺の温泉地にカジノ建設の可能性を探っている釧路市は、カジノ誘致によってアイヌ民族文化を知ってもらういい機会にもなる」と、訳の解らない意欲を高めている。

 そんなカジノ事業の素人を相手に日本でのカジノライセンスを得ようとオーストリアを拠点とする「オーストリアインターナショナル」等は、北海道では人口の約三割が65歳以上という北海道の中でも高齢化比率は高い小樽に興味を示した。

 小樽市の中松義治市長は、「小樽市には年間700万人の観光客が訪れるが、ほとんどが日帰りだ。カジノが誘致されれば観光客は宿泊も兼ねるようになり、彼らが小樽市に落とすカネも、大幅に増える。カジノが観光を盛り上げてくれれば街の活性化につながる」と市長は考えた。

 カジノを大都市から離れた小さい街に建設するのは、ヨーロッパの経営モデルとして研究された。

 特に温泉とカジノという組み合わせは、ドイツのバーデンバーデンが参考とされ、これは熱海市や徳島県鳴門市の目指すモデルとなっている。

実際にグラン・カジノ・ルツェルングループのウォルフガング・ブリームCEOは、「カジノ事業は地域との融合が必要である」と強く唱えている。

 また、1960年代には「温泉の街」として集客力を発揮した静岡県熱海市は、地震やテーマパーク人気に負けて衰退し本当に瀕死状態。

 熱海に「温泉カジノ」を誘致しようと「カジノ誘致協議会」を発足させた森田金清会長は「日本の人口がどんどん減っている中で、これから観光地では海外のお客様とどう取り組むかが非常に大切になる。温泉と日本食とフジヤマゲイシャだけでは駄目で、やはりそこに外国人における文化的な要素の高いカジノという要素を入れることで外国人からも人気の観光地にするができる」と力説する。


 当時、超党派の国際観光産業振興議員連盟会長の細田博之自民党幹事長代行は「観光客が増えるとか、いいプラスがある。国際的な反響は大きい。外での動きも相当出るのではないか。ぜひやりたいという会社が国際的にたくさんいる」と記者団に話した。

 超党派による国際観光産業振興議員連盟は、自民、民主、公明、日本維新の会、みんなの党、生活の党などの国会議員約170人が登録し、安倍晋三首相、麻生太郎副総理兼財務相、生活の党の小沢一郎代表らが最高顧問に名前を連ねている。

 11月12日の国際観光産業振興議員連盟総会で、幹事長の岩屋毅衆院議員が、カジノ解禁法案を今国会に提出するため各党内の手続きを進める方針を確認したが、公明党と民主党、みんなの党は、党内に慎重論があることから法案提出には加わらなかった。

 また、維新の会が独自提出した「カジノ解禁法維新案」は取り下げられることになった。

 国際観光産業振興議員連盟幹事長の岩屋毅衆院議員は「法案が成立すれば、それから直ぐに政府が1年かけて実施法案を作り法案の成立を目指すことになるので、順調に行けば、2020年の東京オリンピックの開催までに日本のカジノ第1号が開業する」と述べた。

 

「国際観光産業振興議員連盟」(通称:IR議連またはカジノ議連)

会 長  細田博之自民党幹事長代行

幹事長  岩屋毅衆院議員

最高顧問 安倍晋三首相

最高顧問 麻生太郎副総理兼財務相

最高顧問 生活の党の小沢一郎代表

公明党  石井啓一政調会長

民主党の議員連盟「娯楽産業健全育成研究会」

国会議員約200人が加盟。