【1990年以降、衰退の一途をたどる競輪界】


 競輪業界の厳しい現状について、経済学者や業界専門家たちのほとんどは、「日本経済バブル崩壊後の1990年代から長い不況に入ったことや、若い人のギャンブル離れが進み、売上が激減した」と分析している。

 この分析は間違っている。

 まず、ギャンブルは不況になると売り上げが伸びるものだ。

 事実、公営賭博の中でも「競馬」や「宝くじ」はバブル期よりもバブル崩壊後に売り上げを伸ばしているし、パチンコ、パチスロも同様急激に売り上げを増加させてきた。


 競輪が低迷する理由は、ずばり「スター不在」だからである。

 

 スター選手の活躍時期と業界の繁栄は比例している。

 競輪の場合、1980年代に活躍した福岡県出身の中野浩一選手がいた。1980年代は他にも海外の人気選手が多数存在していた。

 この時期が最も競輪業界が潤った時期だ。

 そして、中野選手が1992年に引退。

 彼の獲得賞金総額は「13億円」を超えていた。

 スター選手にマスメディアが殺到した。

 一般社会では、この高額な収入が中野選手の「売り」となって浮動票〔競輪やギャンブルに興味が無い人達〕が大きく動き、市民権を得た競輪は「ギャンブル」ではなく「スポーツ」として認知される。

 こうした現象は「スター」という存在がいるということだけで派生する。

 中野選手の場合、デビュー戦から無敗の記録を作り、テレビCMでもカツラをかぶり話題作りに成功し、バラエティー番組に多数出演してタレントとしての知名度を上げ、アイドル歌手と結婚するなどマスコミを呼び込むネタを出し続けていた。

 オールスターファン投票でも、1991年迄は11年連続で1位になっている。

 しかし、2000年に「ケイリン」としてシドニーオリンピック種目に正式採用された時には、既に中野の知名度は低く、競輪の人気は無くなっていた。

 中野選手が引退した1992年から競輪の売上は激減を続けて来た

 結果、多くの競輪場は赤字となり、主催自治体の財政を圧迫している。

 この10年間で、門司競輪場(北九州市主催)、西宮競輪場と甲子園競輪場(兵庫県市町競輪事務組合主催)、花月園競輪場(神奈川県競輪組合主催)、一宮競輪場(一宮市主催)など5ヵ所の競輪場が廃止された。

 2007年には、オートレースの「日本小型自転車振興会」と統合されてしまい「財団法人JKA」が設立された。

 ダメな組織とダメな組織が組んでも、ダメに決まっているが、天下り先を維持するためには重要な施策だ。

 JKAは、「認知度をあげるための取り組み」として、イメージガールに女優などを起用した宣伝活動を行うが、この方針が大間違いである。

 どんなに知名度のあるタレントを起用しても、そのプロモーションが下手であれば不動票は動かない。即ち、ギャンブルとしてのイメージが復活してしまい、関連業種にファンが流れてしまうからである。

 にも拘らず財団法人JKAは、懲りずに「ガールズケイリン」なるものを2012年から打ち出している。

 この企画はそうとう笑える。

 なんとキャッチフレーズが「顔より太もも」だ。

 ロンドンオリンピックでの「女子ケイリン」が正式種目として採用されことで注目度が高くなったと勘違いした他力本願な企画である。

 お笑い企画ならともかく、全く「プロモーション」のノウハウが無いことは明白だ。


 財団法人JKAは「公営ギャンブルだけに、売上が日本の経済状況に左右されるのは仕方ありません。現在の衰退に歯止めをかけるためには、競輪界全体の認知度をあげる地道な取り組みを続けるしかありません。

主催者、選手会や振興会も人気復活のために尽力をしているようです。競輪場によってはさまざまなイベントを行っています。」

 と釈明している。

 “公営ギャンブルの売上は、日本の経済状況に左右される”

 との言い訳は通用しない。

 同時期に売り上げを伸ばしている公営ギャンブルも存在している。

 JKAが自ら語るように「認知度」は重要なのだ。

 ただし、この認知度の本質をJKAは理解していないので、無駄な経費を使って自己満足に陥っているのだ。

 JKAは国民の税金で維持されているので“ギャンブル売上は無くても問題無い”

 しかし、人気が無くなって廃止になったら天下り先が無くなってしまうので困る。

 だから、表向きの広告宣伝を行う。

 広告宣伝だけなら中学生でもできるが、ギャンブルでの売り上げが上がらなければ、国民に還元され資金が捻出できない。

 それでも、国民の税金でJKAの役員は収入は確保出来る。

 このシステムが公益事業の最大の欠点となる「リスクの無い事業」というものだ。

 競輪がオリンピックの正式種目になっても、ポスターに人気タレントを起用しても、それだけでは全く効果がない。

 むしろ、そこにお金を使うだけ無駄になってしまう。

 「イメージ戦略」「広報戦略」「プロモーション戦略」によって、浮動票を獲得できるかが最大のポイントとなる。

 シドニーオリンピックから、2008年の北京オリンピックにかけて、銅メダル1個。スプリント競技でも銀が最高。

 この銅メダルと銀メダルを「金」獲得の如きPRしているJKAにスター選手は作れない。

 今後、国際ゲーミング協会がカジノビジネスを推進する上でも非常に参考になる例になると思います。

 日本においての『カジノ合法化』も「カジノを造れば、勝手に客が大金を持って来てくれる」と考えているようだが、それは大きな間違いである。

 国際ゲーミング協会のセミナーで是非学んでいただきたい。


【競輪】

競輪の主催者は「地方公共団体」

監督官庁は「経済産業省」

実際の運営は、「財団法人JKA」が行っている。


競輪の収益金は、主催する「自治体」の収入。

収益金は、土木工事や公共施設の建設、教育、福祉などに使われる。

《売上》

1991年 約2兆円

2012年 6,147億円


《日本競輪選手会》

競輪選手の数〔2013年10月現在〕

男性 2,736人

女性   51人

現時点で日本のプロスポーツの中で「最も選手数が多い」


競輪選手は、各都道府県にある「日本競輪選手会」の支部に所属。

『日本競輪選手会』は、選手の権利を守る団体として設立された。

選手のランク別

S級S班~A級3班まで、6ランクある。

新人選手は、A級3班に属する。〔年収 600万~800万円〕

S級S班〔最上位で「9人」のみ〕の平均年収は1億円を超える。


全体で平均年収は、約1,200万円